山九ヨーロッパの深牧です。
今年の夏にオランダ人の結婚式に参列する機会を得ましたので、下記ご紹介いたします。
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今日7月3日は、わが社に派遣で来ているMARTIN君の結婚式である。
先週、彼は休暇の申請とともに結婚式の案内状をスタッフにメールで送ったのであった。 確かに、彼は今年1月の採用以来、業務よりももっと大切なことが自分にはある、そういった勤務態度ではあった。
オランダではごく一般的な市庁舎での挙式とのことであり、また会場もオープンで誰でも自由に参列できるらしい。 事務所からロッテルダム市庁舎までは通りを渡ってすぐであり、時間も日本からの問い合わせが一段落した午後であり、 スタッフともども(といっても3人だが)ちょっと覗きに行ってお祝いをすることにした。
生憎、天候は実にオランダらしい曇りで、小雨すら降っている。 目の前を超ミニスカートの女性が友人らしき連れと歩いているが、7月とはいえこの天気では寒そうに見える。 一目で「彼女も参列に行くのだろう」と予想したが、果たして彼女も我々の一行に先立ち、市庁舎に入っていく。 市庁舎前にはやはり同様にドレスアップした参列者が集まっている。もう中に入って良いのか、玄関前で待機していると、白のリムジンが現れた。中から彼が登場するのか、と待っていたがどうやら関係者のみであった。
時間となり、挙式場へと一同案内された。 建物の奥に進んでいくと、日本の式場でいえば神殿に相当する広さの小部屋があり、中では既に正装したMARTIN君本人がそわそわと、本日の式典マスターとともに我々参列者を待ち受けていた。
部屋の中は後方奥に花嫁を迎え入れるための入口があり、その両側から正面にかけて椅子が数列並べられており、正面向かって左側が新郎側、右側が新婦側であることがそれとなくわかった。
我々は左側の前列2番目を選び着席した。 やがてエスコートされた花嫁の入場となり、参列者は一斉に後ろを振り返り、拍手とカメラと歓声が彼女を迎えた。
前方で待機する新郎のもとに到着後、彼らは接吻し、用意されているソファーに着席した。
正面のテーブルにはまるで裁判官のように長いスカートをはいた女性の式典マスター(市役所の専門部署職員らしい)、脇には警備員かと思われる強面の男(実は助手)、そして中央の新郎新婦を挟んで、両壁際には、双方を代表する立会人(各1名)が座っている。式典マスターは何か写真のようなものを新郎新婦に見せながら、おそらく結婚の心得などと思われることを数分間話していた。
新郎新婦側も応答していた。 時に、両立会人も会話に参加していた。 なお、式を通じて現場には1名専属の女性カメラマンがおり、各場面シャッターを押しまくっていた。
やがて、誓いの儀式が始まり、結婚の意思の確認宣誓、そして口上文が新郎側・新婦側から発せられた。覚えるのは容易でないらしく、新郎MARTINは懐よりメモを取り出し、また新婦はといえば、携帯電話を参列席の方から取り寄せ、中に記録された文を読み上げていた。
そして、式典マスターが、両名が今ここに夫婦となったことを高らかに宣言した。
二人は早速助手の前に用意されている署名用紙のところに行き、1名ずつ署名を行った。
続いて、両立会人がそれぞれ署名を行い、最後に式典マスター自身が署名を行い、式は無事に完了した。 引き続き、一同は挙式場に近い別の小部屋に案内され、そこでは新郎新婦が連れ立ち、参列者が歩み寄って接吻したり握手したりお祝いの言葉や物品を渡す行事が行われた。
当然ながら全て地元の言葉で行われていた行事であり、私が英語でお祝いのことばを述べると一瞬当惑の表情が出たのも無理は無い。
休暇中に仕事を思い出させてしまったのなら申し訳ないが、貴重な体験をさせていただいてありがとう、MARTIN君。 (戻ったら、仕事ももう少し頑張って欲しい!)
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この後夕方から会食、場所を移してパーティーなど披露宴に相当するような行事があったようです。
当人たちにとっては事務手続きも兼ねた厳かな儀式である一方、宗教色は無く、質素かつ自由な雰囲気が、若いカップルには大変似合っておりました。
以上 (著者:深牧)
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