※5
「c」における取引上の地位の優劣の判断に際しては、荷主と物流事業者の関係毎に、取引依存度・荷主の市場における地位・取引先変更の可能性等を、総合的に考慮します。
資本金286億19百万円(2018年6月現在)の山九株式会社は、「a」「b」の元請物流事業者にはなり得ず、該当する可能性があるのは「c」の物流事業者のみになります。
◆荷主の子会社が物流事業者に対して再委託する場合
荷主の子会社が物品の運送又は保管を物流事業者に対して再委託する場合に、物流事業者が荷主から直接運送又は保管の委託を受けるものとすれば、荷主と物流事業者が図2のいずれかに該当する場合、子会社と物流事業者との取引に物流特殊指定が適用されます。
図3の例では、直接取引する荷主の物流子会社は資本金3千万円ですが、法適用としては資本金5億円(3億円超)の荷主と資本金2千万円(3億円以下)の下請物流事業者の組合せとなるため、図2の「a」に該当します。
代金の支払遅延 (物流特殊指定第1項第1号)
特定荷主は、特定物流事業者に責任がある場合を除き、代金(運賃や保管料)をあらかじめ定めた支払期日までに支払わなければいけません。
代金の減額 (物流特殊指定第1項第2号)
特定荷主は、特定物流事業者に責任がある場合を除き、あらかじめ定めた代金の額を減じてはいけません。
買いたたき (物流特殊指定第1項第3号)
特定荷主は、同種又は類似の内容の運送又は保管に対し通常支払われる対価に比べて著しく低い代金の額を不当に定めてはいけません。
物の購入強制・役務の利用強制 (物流特殊指定第1項第4号)
特定荷主は、正当な理由がある場合を除き、特定物流事業者に対して自己の指定する物又は役務を強制して購入・利用させてはいけません。
割引困難な手形の交付 (物流特殊指定第1項第5号)
特定荷主は、支払期日までに一般の金融機関で割引を受けることが困難な手形を交付することにより、特定物流事業者の利益を不当に害してはいけません。
不当な経済上の利益の提供要請 (物流特殊指定第1項第6号)
特定荷主は、自己のために、お金やサービス、その他の経済上の利益を提供させることにより、特定物流事業者の利益を不当に害してはいけません。
不当な給付内容の変更及びやり直し (物流特殊指定第1項第7号)
特定荷主は、運送又は保管を変更させたりやり直しをさせたりすることにより、特定物流事業者の利益を不当に害してはいけません。
要求拒否に対する報復措置 (物流特殊指定第1項第8号)
特定荷主は、減額要求や自己の指定する物の購入の要求等(前記「1.」から「7.」)拒否したことを理由として、特定物流事業者に対して取引の量を減じたり、取引を停止したりしてはいけません。
情報提供に対する報復措置 (物流特殊指定第2項)
特定荷主は、特定荷主が物流特殊指定第1項に掲げる行為(前記「1.」から「8.」)をしていた場合に、特定物流事業者が公正取引委員会に対しその事実を知らせ、又は知らせようとしていたことを理由として、取引の量を減じ、取引を停止し、その他不利益な取扱いをしてはいけません。