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物流特殊指定とは

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■物流特殊指定とは

物流特殊指定(※1)とは、荷主と物流事業者との取引における優越的地位の濫用を効果的に規制する為に指定された独占禁止法(※2)上の告示です(独占禁止法第2条第9項第6号)。

物品の運送又は保管を委託する取引のうち、荷主と物流事業者との取引については物流特殊指定が適用され、物流事業者間の再委託取引については下請法(※3)が適用されることにより、物流分野全体の取引の公正化が期待されています。

※1 物流特殊指定…特定荷主が物品の運送又は保管を委託する場合の特定の不公正な取引方法
※2 独占禁止法 …私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律
※3 下請法   …下請代金支払遅延等防止法

物流特殊指定は、荷主による優越的地位の濫用が問題となる物流業界に焦点を当て、独占禁止法の適用を進める為に制定されました。

自己が業として行う提供の目的たる物流の全部または一部を他の事業者に委託する場合は、下請法第2条第4項「役務提供委託」の適用対象となります。
他方、元請物流事業者が荷主から物流を受注する場合の取引は、下請法適用対象とはならず、専ら独占禁止法の適用対象となります。

物流特殊指定は、平成15年の下請法改正で「役務提供委託」が下請法の適用対象に新たに加わるのにあわせて、下請法による保護が及ばない元請物流事業者が抱いた不公平感を緩和させる為に、荷主と元請物流事業者との取引についても具体的な規定を置いたものです。


物流特殊指定と下請法の射程図解

物流特殊指定


■規制の対象となる取引

◆荷主が物流事業者に対して直接委託する場合

荷主が物流事業者に対して継続的(※4)に物品の運送又は保管を委託している場合(図1)において、荷主及び物流事業者の資本金や取引上の地位が物流特殊指定が定めるいずれかの関係(図2)にある時は、それぞれ特定荷主及び特定物流事業者として、物流特殊指定の対象となります。

※4
「継続的」とは、毎月のように連続的に委託(受託)しているということまでは必要ではなく、例えば不定期であっても繰り返し委託(受託)しているような場合も含まれます。

    • 図1 :

物流特殊指定

    • 図2:

物流特殊指定

※5
「c」における取引上の地位の優劣の判断に際しては、荷主と物流事業者の関係毎に、取引依存度・荷主の市場における地位・取引先変更の可能性等を、総合的に考慮します。
資本金286億19百万円(2018年6月現在)の山九株式会社は、「a」「b」の元請物流事業者にはなり得ず、該当する可能性があるのは「c」の物流事業者のみになります。


◆荷主の子会社が物流事業者に対して再委託する場合

荷主の子会社が物品の運送又は保管を物流事業者に対して再委託する場合に、物流事業者が荷主から直接運送又は保管の委託を受けるものとすれば、荷主と物流事業者が図2のいずれかに該当する場合、子会社と物流事業者との取引に物流特殊指定が適用されます。

図3の例では、直接取引する荷主の物流子会社は資本金3千万円ですが、法適用としては資本金5億円(3億円超)の荷主と資本金2千万円(3億円以下)の下請物流事業者の組合せとなるため、図2の「a」に該当します。

    • 図3:

物流特殊指定

※6
荷主が元請物流事業者の議決権の過半数を有していること(間接保有によるものも含みます)。

※7
荷主の子会社の資本金が3億円超であって、子会社が荷主から請け負った物品の運送又は保管を資本金3億円以下の他の物流事業者に再委託する場合等は物流特殊指定は適用されず、図4のとおり下請法が適用されます。

また、元請物流事業者と下請物流事業者の資本金が以下のいずれかの関係にある場合は、下請法が適用されます。

    • 図4 :
      物流特殊指定

■特定荷主の禁止行為

物流特殊指定上禁止されている特定荷主の行為は、以下のとおりです。

  1. 代金の支払遅延 (物流特殊指定第1項第1号)
    特定荷主は、特定物流事業者に責任がある場合を除き、代金(運賃や保管料)をあらかじめ定めた支払期日までに支払わなければいけません。

  2. 代金の減額  (物流特殊指定第1項第2号)
    特定荷主は、特定物流事業者に責任がある場合を除き、あらかじめ定めた代金の額を減じてはいけません。

  3. 買いたたき  (物流特殊指定第1項第3号)
    特定荷主は、同種又は類似の内容の運送又は保管に対し通常支払われる対価に比べて著しく低い代金の額を不当に定めてはいけません。

  4. 物の購入強制・役務の利用強制  (物流特殊指定第1項第4号)
    特定荷主は、正当な理由がある場合を除き、特定物流事業者に対して自己の指定する物又は役務を強制して購入・利用させてはいけません。

  5. 割引困難な手形の交付  (物流特殊指定第1項第5号)
    特定荷主は、支払期日までに一般の金融機関で割引を受けることが困難な手形を交付することにより、特定物流事業者の利益を不当に害してはいけません。

  6. 不当な経済上の利益の提供要請  (物流特殊指定第1項第6号)
    特定荷主は、自己のために、お金やサービス、その他の経済上の利益を提供させることにより、特定物流事業者の利益を不当に害してはいけません。

  7. 不当な給付内容の変更及びやり直し  (物流特殊指定第1項第7号)
    特定荷主は、運送又は保管を変更させたりやり直しをさせたりすることにより、特定物流事業者の利益を不当に害してはいけません。

  8. 要求拒否に対する報復措置  (物流特殊指定第1項第8号)
    特定荷主は、減額要求や自己の指定する物の購入の要求等(前記「1.」から「7.」)拒否したことを理由として、特定物流事業者に対して取引の量を減じたり、取引を停止したりしてはいけません。

  9. 情報提供に対する報復措置  (物流特殊指定第2項)
    特定荷主は、特定荷主が物流特殊指定第1項に掲げる行為(前記「1.」から「8.」)をしていた場合に、特定物流事業者が公正取引委員会に対しその事実を知らせ、又は知らせようとしていたことを理由として、取引の量を減じ、取引を停止し、その他不利益な取扱いをしてはいけません。

独占禁止法(物流特殊指定)違反への対処

荷主に物流特殊指定上の違反行為があると認められた場合、公正取引委員会は当該違反行為を是正させる措置を講じています。

独占禁止法違反 物流特殊指定



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